透明な目 ~串田孫一氏の随想集『鳥と花の贈りもの』より

ご挨拶が随分と遅くなりましたが、

明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

しばらく記事の更新をサボっていたにもかかわらず、何人かの方がこのような超地味なブログを訪れて下さり、心から感謝しています。ありがとうございます。

年末は、急な出来事に翻弄されながらバタバタと過ごしており、年が明けた実感もまるでないまま、いつのまにか一週間以上が過ぎていました。

そんなこんなで、今現在充実した年始を過ごしていらっしゃる方には、たるい内容で申し訳ないのですが、未だに心身ともに疲労感が抜けずにいます。

今日は久々の休日だったものの、どこか人との関係にも疲れていて、「人から離れたものに触れたい」などと思うようにもなり(正月明けから暗くてすみません)、かといってどこかに出かける元気もなかった為に、本棚に救いを求めました。

随分以前に購入した、串田孫一氏の随想集『鳥と花の贈りもの』という本に目が止まり、ゆっくりと、1ページ1ページ、1文字1文字を心に染み込ませるように、読みました。


添えられている叶内拓哉氏の美しい写真に見惚れて、鳥と、花と、串田氏の静寂の世界に心地よく引きこまれました。
鳥の羽音や、花や草木の匂い、空気のひんやりと冷たい感じや、春の水の温もりまで、実際に感じられるような気がしました。

久しぶりに、自然の空気を全身に浴びるような心地よさに浸るうち、ちょっとしたものでいい、実際の自然に触れたい、と思い、家の中の観葉植物や、道端の草花、街路樹に触れて少し癒やされ、見上げると、濃い水色の空が広がっていました。
空を見上げるって、すごくいい。心がいったんリセットされるような気がします。特に、冬のひんやりとした空気を感じながら見上げる空が好きです。

そうして、その瞬間瞬間は心身が満たされたように感じたのですが、やっぱりどこか心が晴れず、疲れは残ったままで。すぐにまた、家のこと、仕事のこと、先に待つ心配事のことなどを考えて憂鬱になったりしていました。
どうも、疲れがとれないなぁ…という感覚があり、それは今に始まったことでもなく、何年もずっと続いてる感覚です。…まあ、歳かなあ…などとぼんやり考えているうちに、ふと気づいたことがありました。

自分はなぜか始終ずっと「休みたい」「疲れがとれない」「休息がとれていない」という「思い」に、囚われているような?

実際には、思っているほどに休めていないわけでもなく、ゆっくりできている時間だってあるはずなのです。にも関わらず、何か強迫観念のように「休息が足りない」という「思い」に囚われていることに、何か突然改めて気づきました。

このずっと続く疲労感の原因は、休息がとれていないのではなく「休めていない」という強烈な「不安感」にあるのかも…?
どうして、いつからそうなったのかは定かではないですが。自分に足りなかったのは、「休息」というよりも、「十分に心身が休まっている」という「充足感」だったのかもしれない。

それで、「何かをすること」を一旦やめました。

しばらくただ静かに座って、体の緊張を緩めて、呼吸を整え…、瞑想というほど大げさではないですが、なんとなく周囲の音を静かに聴きながら、空気感を感じながら、休息している安心感で自分を満たすような感じで。

何かの本で読んだ呼吸法を思い出し、息を深く吐き切って、瞬間、いったんそこでゼロにリセットされる感覚を味わい、そのあとまた自然に空気が全身に入ってくるのにまかせる。
そんなことを、「安心感」「充足感」を意識しながら数度繰り返しているうちに、だんだん力みが抜けて、自然に気持ちが落ち着いてきて、ちょっとずつではありますが気持ちに明るさが戻って来たような…?体も、なんとなく休まってきたような?
さすがに即スッキリ!とはなかなかいきませんが、そんなことをしているうちに、ふと「あ、ブログ」と思い至り、こうして久々に書いています(笑)。

そして、気持ちが少し復活してくると、ふと、串田氏の言葉にもっと触れてみたいと思うようになりました。
最初は、描き出される自然の情景にただただ浸っていましたが、この方の澄んだ目や透明な感性に憧れのような気持ちを抱きました。自分もこんなふうに世界を見ることができたらなあ…。
願わくば、目の前の世界に対してこんなふうに、決めつけたり結論づけたりということを一切せず、ただただ透明な目でありのままを見つめてみたい。そういうまっすぐな澄んだ目で外の世界を見てみたい。
…今はまだ遠く及ばず、です。

【追記】
今年の初投稿が、ここに引っ越してきてからのトータル100件目の投稿だそうな。
そんなに書いたかなあ。数なんて気にしたことなかったので、ちょっとビックリです。
何を書いたかなあと気になりつつ、読み返すと恥ずかしくなりそうで、過去記事を読めない(笑)。
こんな稚拙な記事をいつも読んでくださる方へ、改めてお礼申し上げます。本当にありがとうございます。m(_ _)m
これからもたぶんマイペースな更新になると思いますが、どうぞよろしくお願い致します。

透明な目 ~串田孫一氏の随想集『鳥と花の贈りもの』より” への2件のフィードバック

    1. photonspinさん、ありがとうございます\(^^)/

      「まずは深く吐く」を意識する呼吸はおすすめです。おへその下あたりを意識しながらだと、より心身が落ち着く感じがします。

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