『世界を変える美しい本 インド・タラブックスの挑戦』展を観てきました

お盆休みに1週間、子どもたち(姪と甥)とベッタリ一緒に過ごしていた為、ネバーランドから現実に戻ってきたような変な感覚だった本日。

午後から暇だったので、ずっと気になっていた展覧会を観に、急遽新幹線で京都まで行ってきました。
昼からの日帰り旅なので、京都滞在時間たったの4時間半。
それでも行ってしまったのは、その展覧会が今日までだったので。

細見美術館『世界を変える美しい本 インド・タラブックスの挑戦

「タラブックス」とは、インドの出版社です。
シルクスクリーンで印刷し、一冊一冊手作りで製本された絵本が特に有名で、世界に知られた出版社だそう。
私は少し前に書籍で偶然知り、以来原画を見てみたくてしかたなかったので、滑り込みで行ってきました。

最終日の為か、かなり賑わっていました。

驚いたのは、写真撮影がOKだったこと。
シャッターを切る音があちこちから聴こえて、撮影していいことに気づきました。
というわけで、私もスマホを取り出し撮影しながらの鑑賞。

展示室に入ると、まず目に飛び込んできたのは、世界各国の言葉に翻訳された有名な『夜の木』。

↓原画もズラリ。
細かい。とにかく丁寧で細かく美しい。

↓ダミー本と、不採用になったという原画も展示されていました。

なぜこれが不採用⁈と思う美しいものばかり。
こだわりの深さが伝わってくるようでした。


製作過程などが、数箇所で映像紹介されており、ひと色ひと色、色を着けては乾かしの繰り返しの作業など、一冊の絵本が出来上がるまでの気の遠くなるような道程に、ものづくりの原点を見た気がしました。

こういう心のこもった手作業の過程を見ているのがすごく好き。
時間が許すなら、ずっと見ていたい。
画面から、インクや紙の匂いまで漂ってくるようでした。

「物語を語り伝えるための絵巻物」「祭壇へ行けない人々が、祭壇の代わりに祈りを捧げるための作品」など、美術が、日々を生きる人々にとってなくてはならないものであること。心の支えであり、生活を潤すものであること。
作家は、自分の内側から自然に湧き上がってくる情熱に突き動かされ、魂を込めて製作する。それを心から必要としている人たちがいる。

展示を観ていくほどに、その世界観の中に深く潜り込んでいくようで、自分の中に懐かしい何かがじんわりと浸透してくるようで。
現代社会が忘れかけている「生きる」ということの原点へ回帰していくような…そんな感覚になりました。

先日の「あいちトリエンナーレ」の騒動を眺めていて感じた「芸術って何だろう?」という疑問と違和感を思い出し。

ここにはその原点がありました。


館内の茶室『古香庵』という場所で、タラブックスの様々な絵本を、畳に座って自由に読むことが出来るようになっていたので、いざ。

人がひしめき合っていて、写真撮影ははばかられましたが、茶室でインドの絵本を読むという面白い体験ができました。

↓『夜の木』の表紙裏側に、タラブックス設立者ギータ・ウォルフさんのサインを発見。


ミュージアムショップでは、『夜の木』が欲しかったのですが、既に売り切れてしまったようで。
図録と、『Creation』という絵本の原書(日本語版は『世界のはじまり』)を購入しました。

図録はまだ読んでいませんが、『Creation』はため息の出る美しさでした。
原書ということで、絵本にしてはかなり高価でしたが、買ってよかった。

紙の柔らかな風合い、インクの浸透具合や艶、匂いがたまらない。


結局、それほど広くはない美術館に2時間以上入り浸っていしまいました。
はるばる京都まで来てよかったと思える、見応えのある展覧会でした。

【おまけ】

美術館から平安神宮方面へ向かう道、ふと振り返ると、雲から光が八方にもれていて綺麗だったので、思わず撮影。

↓ついでに平安神宮前の大鳥居も。

【追加余談】

このブログを書いたあとに、ある方のブログ記事を読んでいたら、文章の一部が『Creation』の「鳥が螺旋を描いて飛翔している絵」(上に写真載せてます)とシンクロしていてびっくり。鳥肌たってしまった。(ん?鳥で鳥肌…決してダジャレではない)

もしかしたら誰もが「かつての場所・自分」へ還る旅を続けているのかなという気もします。
カルマの解消とはそういうことか、と。
飛翔する鳥は直線に飛んでいるわけではなく、大きな輪を描いているのかもしれません。

ksnovel-labo.comより。

不思議な偶然があるもの。

『世界を変える美しい本 インド・タラブックスの挑戦』展を観てきました” への3件のフィードバック

  1. インドの絵本、いいですね。ちょっとした色遣いなんかにもインドの人々の独特の世界観が反映されてるんでしょうね。

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    1. コメントありがとうございます^^
      原色系の鮮やかな色彩が多く、まさに独特の世界観、独特の味わいでした。
      インドの人たちのパワフルな生命力が伝わってくるようでした。

      いいね: 1人

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