宮沢賢治『雁の童子』

昨夜読んでいたある本の中に、宮沢賢治『雁の童子』が出てきました。
著者さんが、子供の頃に読んでとても心惹かれたとか。
一度も読んだことがなかったので、Kindleでダウンロードして読んでみました。

なんとも不思議な空気感の漂う、輪廻転生の物語でした。

この物語の中では、起こる出来事に「偶然」と呼べるものはどうやらひとつもない。
全くの偶然のように見える出逢い、ただいっとき、ほんの少し言葉を交わし通り過ぎるだけの関係でさえ、おそらく過去世の因縁が関わっていて、どんな出来事にも人間には考えも及ばない「天の計画」が隠されている…。

実際の世界は果たして…どうなのだろう。
長く読まれ続ける物語には、おそらく何かしらの真実が隠されている。

ところで、物語中に出てくる不思議な地名や人名が気になり、後から調べてみました。

流沙の南の 、楊(やなぎ)で囲まれた小さな泉で 、…

「流沙(るさ)」は、中国、西北地区の沙漠地帯を指すようで、タクラマカン砂漠のことらしい。
ちなみに、「楊(やなぎ)」は日本の柳とは異なり、「胡楊(コトカケヤナギ)」というポプラの一種で、中央アジアから北アフリカの乾燥地帯に見られるものらしいです。
春先から夏にかけて、甘い香りの花をつけるのだとか。

沙車に、須利耶圭という人がございました。

古代中国、前漢〜南北朝時代の頃まで、実際に莎車(さこ、さきょ)という国名が存在したようで、「沙車(さしゃ)」はそこからとったのでしょうか?

「須利耶圭(すりやけい)」という変わった名前については、こちらのサイトさんが、「須利耶」はサンスクリット語の太陽(スーリャ)で、太陽系を詰って「須利耶圭」ではないか、と仮設を立てていらっしゃったのが興味深かったです。

久々に読んだ宮沢賢治。
物語にも引き込まれますが、情景描写やセリフの言葉の響きがなんとも言えず繊細で、美しかった。
やっぱり好きだなあ。

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