一本の木になった夢を見ました。
ここ何日か、連日子どもと遊んでいる影響か、なんだかファンタジーな夢。
葉でそよ風を感じて、鳥が羽を休めていて、実を食べたりしていて、私は大地にどっしりと根をはって、落ち着いていて、満たされていて、幸せ。
とても心地のいい夢で、目が覚めてもしばらくは、目を閉じたまま何度も反芻しました。
幸せが自然にそこに集っているような世界。
人間みたいに、前のめりに追いかけようとはしないし、逃げることもしない。
そこにあるものを区別したり否定したりすることもない。
ただそこにいて、訪れる全ての存在を受け入れている、その感じがすごくよくて、幸せで、泣けてきました。
かえりたい懐かしい場所を、垣間見たような。
それでふと、突拍子もない思いが浮かびました。
願わくば、来世で私は木になりたい。
静かな森の中で人知れず存在する、特別立派でもない、ありふれた木になりたい。
人間はもういい、と思いつつ、あと何回生まれ変わったら、人間を卒業できるのかな、とも思う。
あんな静かな心境には、どうしたらなれるのだろう。
あと何度生まれ変わったら、あの平和な世界を生きることができるかな。
「木」繋がりで、薄っすらと記憶にあった、大和和紀『菩提樹』という漫画の中の言葉を思い出し、何十年かぶりに手にとってみました。
(医者を目指す少女と、それを陰で見守り支える男性の物語。)
樹は…いいな
こうして幾度もよみがえることができる…
ちいさな芽はいつか幼木となり、大樹に育ち、
愛する人々を見守りつづけるんだ。
たとえ幾度枯れようと……きみは…その木になりなさい
ワーズワースの詩が引用されていて、そちらもすばらしいです。
草には光輝、花には栄光ある
時代を取り返すこと能わずとても何かせん
われらは悲しまず
むしろ後に残れるものに力を見出さん